「ねえ、そのプリン、パパのだったんだけど」
そんな些細なひと言から始まる、家庭のちょっとしたバトル。
今回はそんな“プリン”をきっかけに、意外と知られていない「思い出の品」や「感情」が引き起こす相続トラブルについて、お話ししたいと思います。
プリン一個でもめる?って笑えない話
「兄貴が勝手にあの時計を持って帰ったんだよ」
「母さんの形見の指輪、なんであの人が使ってるの?」
「え、あのソファーはうちの嫁が好きだったのに!」
——実はこれ、ぜんぶ実際の相続現場で出てくるリアルな声です。
人って、不思議なもので。
何百万円というお金のことには案外サバサバしていても、
たった一個のプリンのような「感情がのったモノ」には、異常なほどに執着してしまうことがあるんです。
「金額」より「思い入れ」で火花が散る
相続というと、つい「お金」「土地」「株」などの資産価値に目が行きがちですが、
実際に家族がもめるのは「思い出の品」や「親の気持ちがこもっていそうな物」のケースが多いです。
たとえば:
- 子どもの頃に使っていたピアノ
- 母が編んだ毛糸のセーター
- 父が大事にしていた釣り道具
- 家族で囲んだちゃぶ台
こういった“思い出が詰まったアイテム”こそ、誰が持つかでもめる。
そしてこれ、遺産分割協議の対象になり得るんです。
民法上「遺産」は、金銭的価値のあるものだけでなく、動産(モノ)も含まれます。
たとえ市場価値がゼロでも、相続人同士がもめたら調停や審判にまで発展するケースもあります。
「思い出の品は兄弟仲を壊す」って悲しすぎる
想像してみてください。
親が残した宝物のはずなのに、それをきっかけに兄弟が絶縁する。
親からすれば、本望ではないですよね。
でも実際には、「あの時あの人が勝手に持っていった」「話し合いもなく決められた」といった“気持ちのすれ違い”が、長年尾を引いてしまうこともあります。
感情トラブルを防ぐためにできること
こうした“感情相続トラブル”を防ぐには、次のような対策が有効です。
遺言書に「モノ」についても書いておく
例えば「時計は長男に」「写真アルバムは次女に」など、あらかじめ親が明記しておくと、家族の納得感も違います。
思い出の品リストを作る
法的効力はなくても、「これは誰にあげたい」という本人のメッセージがあるだけで、争いがぐっと減ります。
生前に話し合う場を持つ
「死んだ後の話なんて…」と思わず、元気なうちに少しずつでも話しておくと、いざというときの安心感が全然違います。
最後に:プリンはきっかけ、本音は別にある
冒頭のプリンの話。
実は「プリンが欲しかった」のではなくて、「パパを大事に思ってた気持ちを、兄に分かってほしかった」という妹の気持ちの表れでした。
相続の場面で表に出てくるのは“物”ですが、
その裏には“感情”が必ずあります。
「プリン一個で何怒ってんの」なんて笑って済ませず、
その奥にある思いをくみ取っていけたら、きっと争いは減っていくんだと思います。
親が遺したのは、財産だけじゃない。
「家族の絆」も一緒に遺していくには、ちょっとだけ準備が必要です。
プリン一個の大切さ。
それを忘れずにいたいですね。
もし「うちもなんかモヤモヤしそうだな…」と思った方は、今のうちから準備、始めてみてください。
コメント